中学生、高校生のための夏休み数学自由研究の題材を考えてみた

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自問

中学生・高校生が夏休みに行う数学自由研究の題材って何だろう?

自答

受験生を除くと、学校によっては数学に関する自由研究を考える宿題がありますよね。理科系ならまだしも、数学の自由研究なんてピンとこない、という方は多いのではないでしょうか。しょうがないから、数学に関係しそうな話をネットからかき集めてレポートにする、という人も多いのではないのでしょうか。

しかし、どうせなら、ある程度「研究」の名に恥じぬよう「オリジナル」の題材を考えたいという人もいるのではないでしょうか。そういう意欲的な方の助けになるような記事を書いていきたいと思います。アイデアが思い浮かべば、その都度この記事を更新していきたいと思います。とりあえず、今すぐ思いつくものを挙げていこうと思います。

自由研究課題1 〜 必勝法の存在するゲームの発案 〜

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数取りゲーム

ルール
30からスタートして、二人が互いに大きい方から1~3個の数字を取り合う。最後に1と言ってしまった方が負け。
具体的に、どういう勝負なのかを吹き出しを使ってやってみましょう。30は長いので、15にしましょう。

14

13, 12, 11

10

9

8, 7, 6

5, 4

 
 

3, 2

1

僕の勝ちだね。

僕が中学生の頃に、暇つぶしの時にやっていたゲームです。このゲームは実は先手必勝のゲームです。どのように戦略を組めば良いでしょうか。それほど難しくないので考えてみると良いと思います。さらに、これを自由研究のテーマとする場合には、このゲームを次のように一般化して必勝法の有無、戦略の立て方を議論するのが良いでしょう。

 

一般化
ある自然数Nから始めて二人の人が交互に数字を取り合う。ただし、1ターンで取れる数字はnを自然数として、1からnまでである。このとき、このゲームに必勝法は存在するか。必勝法が存在する場合、その戦略を説明せよ。

拡大版○×ゲーム

○×ゲームと言えば、3×3のマス目に二人が交互に○や×を書いていって、どちらかの記号が縦・横・斜めのいずれかで3連続すれば勝利となるもので、よく知られていると思います。このゲームでは、必勝法は存在しないことがわかっています。すなわち、先手・後手どちらも最善の手を指せば引き分けです。

それでは、マス目の数を増やして5×5にしたらどうでしょうか。この場合は手の数が飛躍的に増加します。それで少しルールを変更して、どちらかの記号が縦・横・斜めのいずれかで4連続または5連続すれば勝利するとしたら、先手・後手のいずれかに必勝法は存在するでしょうか(3連続では明らかに先手必勝です)。私は考えてみたことはないですが、時間があれば興味深いテーマだと思います。

ちなみに、縮小版オセロゲーム(4×4や6×6)では必勝法が存在することが証明されています。4×4などは自分の手で調べてみるのも面白いですね。

 

自由研究課題2 〜 集団の平均値予想と学力レベル 〜

こんな問題(ゲーム)がある。

問題
ある集団に対し、各人が0~100までの好きな数字を紙に書いてもらい、全員の数字の平均の半分(最終値)にもっとも近い人が勝つ。このとき、その値にもっとも近づけるためには、紙にどの数字を書けば良いか。
よくある集団の平均値予想ゲームです。単純に考えると平均は50であり、これの半分というと25です。例えばこのように予測して全員が25と書いたとすると、平均が25になり、その半分は12.5となります。皆がそのように予測して、12.5と書いたとすると、平均が12.5となり、その半分は6.25となります。
 
このように、アキレスと亀の思考で考えていくと、最終値は0に近づいていくでしょう。では0と書けば勝ちになるか、というとそうではありません。世の中全員がこのように考えることができる訳ではないからです。中には25と書く人もいれば、50と書く人もいるかもしれません。そこで次のような仮説を立ててみましょう。
 
Check
学力レベルが高い集団ほど最終値は0に近づく。
ナイーブに考えれば、学力レベルが非常に高い集団ではより頭を使って低い値を書き込むと思われます。そこで、例えば学力レベルと最終値の分布を作ると、ある程度の関係性が見られるのではないでしょうか。こちらも試したことはないですが、このようなことが可能な環境にあればぜひ試してみると面白いかもしれません。
 

自由研究課題3 〜 ラノベと文学作品を見分けるパラメータの探索 〜

文学作品といえば、初等教育の国語の教科書にも載るような夏目漱石、森鴎外、志賀直哉、島崎藤村、兼好法師、清少納言などの作品を指します。ライトノベルとは、皆さんもよくご存知とは思いますが、有名どころでは「涼宮ハルヒの憂鬱」や「とある科学の禁書目録」などでしょうか。例えば、人間が文学作品とライトノベルを同時に見れば、それらを見分けることはたやすいでしょう。

それでは、機械にこれらを見せた時、機械は二つの種類を見分けることができるでしょうか。「そもそもそんな必要ない」という意見は置いておきましょう。人間ならなんとなくその性質から物事を見分ける定性的な判断ができますが、機械にはできません。機械がものを判別する際には、何らかの「定量的な」ものが必要で、パラメータと呼びます。今大流行りのDeep learningというのはまさに「定性的なもの」をデジタル情報に変えてしまい、そこからものを見分ける「パラメータ」を抜き出し、それを元に情報を分類するということをやっています。

もし、文学作品とライトノベルを区別するパラメータが見つかれば、そのパラメータの値に応じて文学作品とライトノベルを識別することができるかもしれません。イメージとしては次のような分布が得られれば、成功です。

例えば左側が文学作品で右側がライトノベルの分布です。ここでは簡単のためパラメータの値が-1から0になったら文学作品で、0から1になればライトノベルである、としています。このようなパラメータを見つけることができたら、二つのものを分類できます。僕がすぐに思いつくものでは次のものでしょうか。
パラメータ候補
1. 1ページあたりの全体の文字数に対する漢字の割合
2. 全体の文の数に対する「セリフ」の割合
3. 1文1文の文章の長さ
1であれば漢字が多いほど、2であればセリフの数が少ないほど、3であれば文章の長さが長いほど文学作品になると思われます。それぞれをパラメータにして、上のような分布を作ってみると割とくっきり文学作品とライトノベルを分けられるような気がします。おそらく、もっと良いパラメータがあると思いますので、それを考え出して実践してみるととても面白いと思います。もし、この課題を行ってくださった方は、ぜひその結果を教えていただけると嬉しいです。
 
また「文学作品」と「ライトノベル」だけでなく、他にも色々な比較ができると思いますので、応用範囲は広いと思います。
 

自由研究課題4 〜 トノサマバッタの生息数 〜

対象

  • 対象:中学生以上
  • 応用範囲:大
  • 難易度:上級

概要

このタイトルは、10数年前に某都立高校の推薦入試問題で出題された問題のテーマとなったものです。問題では、原理を数学的な確率計算で確かめさせてから、その応用として「トノサマバッタ」の生息数を求める方法を考察させていました。統計手法としては非常に有名な方法で「捕獲-再捕獲法」と呼ばれる手法です。母集団の数がわからないものを統計的に推定することができます。

原理

例えば次のような問題を考えましょう。

問題
箱にたくさんのボールが入っている。はじめに、n個のボールを取り出し、これにマーキングをして箱の中に戻す。箱の中身をよく混ぜ、今度はM個のボールを取り出すとマーキングされたボールはa個であった。このとき、箱の中にあるボールの個数を推定せよ。ただし、誤差は考えなくても良い。また、n, Mは1に対して十分大きいとする。

この手の問題は、中学入試でも出題されることがあり、その意味で中学生以上なら誰でも理解できるはずです。一回一回の事象がランダムであることを前提としているので、「確率」の考え方で解くことができます。

箱の中にあるボールの数をNとします。1回目の試行でn個のボールにマーキングをしているので、マーキングをしたボールを取り出す確率はn/Nです。次に2回目の試行でM個のボールの中にa個のボールがマーキングされていたことを考えると、マーキングを施したボールを取り出す確率はa/Mです。

さて、ここが問題です。確率としては厳密にn/N=a/Mが成り立つとは限りませんが、”推定”という観点からこの二つの確率は等しいものと考えることができます。ゆえにNは

$$N = \frac{Mn}{a}$$

と推定することができます。この試行を何度も繰り返してその平均をとれば、推定値は実測値に近づいていくことがわかると思います。

研究方法

Step1
捕獲-再捕獲法の原理を確かめる。例えば、N個の紙切れを作って中が見えない箱の中に入れる。箱の中からランダムにM個程度を取り出し、ペンでマーキングする。再び箱の中に入れ、よくかき混ぜてからa個程度取り出し、その中でマーキングされた数を調べ、上で述べた数式から紙切れの総数を推定し、実際に何個の紙切れを作ったのかを数えて比較する。

N, Mを色々変えて、推定値と実測値の差を見てみるというのも面白いと思います。予想として、N, Mが大きければ大きいほど推定値と実測値の差は小さくなることが予想できます。

 

Step2
N, Mを固定して、捕獲-再捕獲をn回繰り返してそれぞれの推定値を求める。n回目の推定値を、(推定値の合計)/nと平均して、これを実測値と比較する。nの値によってこの差がどのように変化するかを調べる。
試行を繰り返すと精度が増し、推定値と実測値の差が小さくなるはずなので、それを確かめてみると良いと思います。ここまででも十分な研究だと思いますが、より「オリジナル」の研究をしたかったら、次のステップが重要です。
Step3
捕獲-再捕獲を実生活に応用する。
実際の動物を使うのは、実践的にかなり難しいでしょう。都立高校の推薦入試問題では、、トノサマバッタの生息数をこの方法で求める方法を提案せよ、というものでしたが、ただのバッタにしても実際にバッタを捕まえて、離して、再び捕まえて、とやるのは難しいと思います。この方法を実施するに当たって重要な前提条件は次の通りです。
  1. 母集団が相当数である。
  2. 母集団がある一定の領域内にランダムに分布しており、捕獲、再捕獲時にその数が変化しない。
  3. サンプル(選ぶもの)をランダムに捕獲、再捕獲できる。

このような条件を満たす事象を見つけることができれば、捕獲-再捕獲で母集団の数を推定することができます。実生活に応用しようと思うとき、おそらく厄介なのは条件2です。これをうまくクリアできるものを考えることが重要でしょう。

 

自由研究課題5 〜 モンテカルロ法による推定 〜

対象

  • 対象:高校生以上(原理を確実に理解したいなら大学生、とりあえずやってみるだけなら中学生でも可)
  • 技術:数値計算でシミュレーションを行いたい場合はプログラミングの知識(初級程度)
  • 応用範囲:大
  • 難易度:上級

概要

モンテカルロ法は数値計算やシミュレーションを通じて、ある事象に対する近似解を求める手法のことです。具体例として、円周率を求めることが有名である。”モンテカルロ 円周率”としてググれば、様々なサイトで丁寧な解説が行われています。ここではモンテカルロ法の詳しい説明は省き、簡単な原理の説明をすることにします。

原理

モンテカルロ法では「乱数」を用います。算数、数学において確率の問題を解くとき「一様に」とか「ランダムに」とか、その類の言葉が使われますが「乱数」はこのランダム性と深い関係があります。特にモンテカルロ法では「一様乱数」というものがよく使われます。例えば、0から1までの全ての実数、というと無限個の数がありますが、この中で全ての数を等しい確率で取り出したときの数を「一様乱数」と言います。サイコロの一様乱数とは、1から6の中の目を全て等しい確率で取り出したものと言えるでしょう。一様乱数を人間が作り出すことはほとんど不可能で、実は、機械でさえも完全に一様の乱数を作ることは極めて困難です。しかし、機械であれば限りなく一様乱数を作ることは可能で、実際にそのようなプログラムを実装したサイトはあちこちに見られますし、プログラミングの世界では一様乱数を生み出すコードが日々開発されています。一様乱数を用いて、例えば円周率を求めることができます。

モンテカルロ法による円周率の求め方
  1. 原点と中心が重なるように半径1の四分円を書く。
  2. 0から1までの一様乱数を2個1組みで取得して座標(x, y)を定義する。
  3. N組の座標を取得して、それぞれに対応する点が四分円の中にある組みをn組とする。
  4. 4n/Nが円周率の推定値である。

1については次のような図があるとわかりやすいでしょう。

 

2の一様乱数で取得した値をx, y座標に持つ点A(x, y)が四分円の中に入る確率Pは四分円の面積と正方形の面積で決まるはずなので、

$$P=\frac{\pi}{4}$$

です。3, 4で求められた値n/Nは、まさに点Aが四分円の中に入る確率なので

$$\frac{n}{N} = \frac{\pi}{4},\ \pi = \frac{4n}{N}$$

と計算できるわけです。

研究方法

モンテカルロ法を用いると例えば次のような問題を解くことができます。

Check
南極の面積を推定せよ。
もちろん何の道具もなければモンテカルロ法を利用することはできませんが、例えば地球儀を利用する手段を考えてみます。地球儀の縮尺と南極の面積から実際の南極の面積を推定することができます。南極の面積の求め方は色々あります。おそらく、よく学校で習うのは方眼紙を南極に当てて、その方眼のマス目の数を数えていくというものでしょう。モンテカルロ法を用いると、次のように求めることができます。
step1
地球儀と爪楊枝(先の尖ったものならなんでも良い)を用意する。このとき地球儀は凹凸や穴などがないものを選ぶ。
step2
目をつぶり、地球儀をでたらめに回転させ、爪楊枝の先で地球儀を指す(刺さない方がいい)。
step3
step2の試行を何度も続けて、試行回数Nに対して、爪楊枝が南極圏を指した回数nをカウントして確率n/Nを求める。
step4
地球儀の半径rを調べ、その体積Vを計算する。また地球儀の縮尺が1/Aであるとすると求める南極の面積Sは
$$S = \frac{nAV}{N}$$
となる。
お分かりの通り、Nは出来るだけ大きい方がよく、またこの試行を何度も繰り返して平均をとれば先と同じように精度は上がっていく。また、高校生で統計に興味がある方は、この面積の「精度」を求めてみるのも面白いです。”統計 平均 信頼区間”などで調べるとこの問題に適用するための資料が色々見つかると思います。
以上の問題設定は僕がパッと思いついたものなので、モンテカルロ法に興味を持った皆さんが「自分オリジナル」な問題を設定して、問題を解いてみるととても面白いと思います。
 

自由研究課題6 〜 衝撃破壊の統計則 〜

対象

  • 対象:高校2年生以上(対数を学んでいるなら高校1年生でも)
  • 知識:対数や正規分布の知識
  • 実戦応用範囲:大
  • 難易度:上級

概要

衝撃破壊というのは、読んで字のごとく衝撃を与えて物体を破壊する、ということです。このとき、破壊されて粉々になったものにはある統計則が成り立つ、というのです。これは、つまり、ガラスのコップを床に落としてバラバラに破壊した時、そこにある法則がある、と言っているわけです。とても不思議な話ですよね。

原理

この法則を説明する前に、二つの概念を説明しておく必要があります。それは「べき乗分布」と「正規分布」です。そもそも「分布」というのは何なのかをおさらいしておきましょう。「分布」は高校生でも「ヒストグラム」という形で学んでいますが、現在の日本の高校数学の教科書には「統計」を学ぶ機会がほとんどないので、分布は聞きなれない言葉だと思います。分布をわかりやすくいうと、次のようなものです。

分布
事象A, B, C, D, E, Fがあって、それぞれが起こった回数をa, b, c, d, e, fとする。横軸を事象、縦軸を事象が起こった回数として作成したグラフをその事象が起こる「分布」という。
サイコロを投げて出た目をそれぞれの事象としてみましょう。それぞれの事象が起こった回数を計算してグラフにすると次のようになりました(もちろん機械にサイコロを振らせています)。
 
 
サイコロの出目は同様に確からしいとすると、どの目が出る確率も同じなので、それぞれの目が出る回数はほとんど同じになることが期待できます。このような分布を「一様分布」と言います。では、「べき乗分布」とはどのような分布のことでしょうか。

 

べき乗分布
横軸の事象の変数をX, 縦軸の事象の起こった回数をYとしたとき以下の関係が成り立つ分布をべき乗分布という。
$$Y = cX^{-a}\ (a>0)$$
例えばc=1, a=-1の時はY = 1/Xとなり、反比例のような分布になります。
べき乗分布の形はおおよそ次のようなものです。
 
このように、Xが小さくなるほど回数は大きくなるという傾向があります。べき乗分布の具体例は例えば、地震のマグニチュードを横軸、そのマグニチュードの地震が起こった回数を縦軸にとったようなものです。単純に考えてもマグニチュードの小さい地震は頻繁に起こり、マグニチュードの大きい地震はあまり起こらないですよね。
正規分布
正規分布は横軸の事象変数をX, 縦軸の事象数をYとしたとき、X, Yが以下の式に従う分布のことである。
$$Y = \frac{1}{\sqrt{2\pi}\sigma}\exp\left(-{\frac{(X-\mu)^{2}}{2\sigma^{2}}}\right)$$
大学生でもなければ、この式を理解する必要も覚える必要もないのですが、正規分布がどういう形をしているかは知っておきたいことです。正規分布の一つを書くと次の通りです。ここでは
$$\sigma = 1, \mu = 0$$
とおきます。
 
 

このように正規分布は、μ(この場合は0)を平均として左右対称に、σ(この場合は1)の幅で分布します。σを大きくするほどなだらかな山、σを小さくするほど急な山になります。正規分布は別名、ガウスの関数(ガウシアン)です。ガウスというのはあの有名な数学者のことですね。正規分布はその名前の通り、”ありふれた分布”であり、将来物理学の研究に携わるようなことになれば、年がら年中お目にかかる分布でしょう。物理だけでなく、日常生活の至る所でも現れる分布です。ところで、正規分布と似たものとして、対数正規分布というものがあります。

高校数学の範囲内では横軸も縦軸も1, 2, 3, …という等間隔の幅の座標を使います。化学ではたまに出てきますが、横軸または縦軸を「対数」にするような場合があります。対数正規分布では横軸を対数に変えて分布を作ったときに、分布が正規分布の形をしているもののことを言います。

ちなみに対数正規分布は次の式に従います。

対数正規分布
$$Y = \frac{1}{\sqrt{2\pi}\sigma X}\exp\left(-{\frac{(\ln{X}-\mu)^{2}}{2\sigma^{2}}}\right)$$

さて、べき乗分布と正規分布の導入が終わったところで、本題に戻ります。衝撃破壊の統計則とは一体何なのか。

衝撃破壊の統計則
物体が衝撃によって破砕されたとき、その破片のサイズ(長さ、質量)に関する分布は多くの場合、べき乗分布または対数正規分布で近似できる。

この統計則は、衝撃によって粉々になった破片をサイズごとに分類してヒストグラム(分布)を作ると、べき乗分布や対数正規分布になるという主張である。こんなこと、凡人は知らなければ夢にも思わないことですが、実際に理論を構築して、実験結果と照らし合わせた偉大な数学者がいるというのは、驚きです。

 

研究方法

まず、一つのテーマとして、統計学を勉強するというのは非常に重要な自由研究だと思います。なぜなら、理系に進んでも文系に進んでも、大学生活で研究をしようと思ったら「統計学」は必須の学問ながら高校ではほとんど学ぶ機会がありません。また、教養として身につけておいて、テレビの安易なアンケート結果などに騙されないようにするというのは重要です。ここで取り上げたような正規分布や、その前の実験テーマで紹介した「精度の評価」などをテーマにするのも良いと思います。

しかし、それにもまして魅力的なのは、実際にものを壊して分布を作るということでしょうか。衝撃破壊、というのはやり方を誤ると非常に危険ですので、もしこれを自由研究のテーマに選ぶ場合は一人でやるのは危険でしょう。理科の先生と相談するか、両親と相談して、安全に実験をできる環境を作ることが大切です。

しかし、物体によって、破砕の質量または長さがどのような分布になっているかを自分の目と手で確かめるというのは非常に興味深く、魅力的なテーマであると思います。

また、この統計則は「衝撃破壊」だけでなく、他のケースにも成り立つことだと言われています。

文章の文字
対数正規性
文章の長さとそれが登場する回数は対数正規分布に従う

実際に調べた人がいるというのも驚きですが、複数のテキストを選んできて、文章の長さを数え、それが登場した回数を分布にした時、「文章の長さ」の対数を横軸にとり、回数を縦軸にとった分布は近似的に、対数正規分布となったそうです。

このように、発想次第では、誰も知ることがない隠れた正規分布を見つけることができるかもしれません。

終わりに

もし、興味があるものがあればご自由に題材をとっていただいて構いません。もし結果が出たらダイジェストでも教えてくれると嬉しいです。また、それぞれのテーマに興味があるが、いまいちよくわからない、ということであればコメントしていただければお答えします。

 

そんなに凝った自由研究をやる時間がない、という方には、こちらの記事をどうぞ。

また、本ブログでは最近、統計学を利用した簡単な研究記事を公開しました。

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