ハロー、ようこちゃん、元気?
あ、うん。元気、かな。まみは今日もテンション高いね。
今日の問題たちも非常に面白いものばかりだからね。テーマは数列!
数列かぁ。う〜ん、そんなに自信ないかな。
そんなことないくせに。でも、問題によってはかなりやりにくい問題もあるから、楽しんでもらいたいなぁ。いつも通り、数列に関する基礎知識を簡単に復習しようかな。
$$a_{1}, a_{2}, a_{3}, \cdots, a_{n}$$
で表現することもある。この時、数列の任意の添字\(n\)に関する式を一般項という。一般項は、その数列を代表する式である。また数列の第1項目、\(a_{1}\)をその数列の初項と呼ぶ。
“一般項”に関して一つ注意しておきたいことがあるよ。センター試験や教科書の簡単な問題ばかり解いていると、一般項は必ず\(n\)を用いた顕な式で書き表わせると錯覚してしまうんだけど、もちろんそんなことはないからね。
\(n\)を用いた顕な式というのは、\(a_{n}=5n+2\)とか、そういう形で表せるという意味だよね。確かに、難しい入試問題では、\(a_{1}=1, a_{2}= -1, a_{3}=0, a_{n} = 5n+2 (n\geq4)\)のように、場合分けが必要になることもあるよね。
そうそう。一般項は、\(n\)の値を決めたら1意に対応する式でなければならないけど、必ずしも\(n\)の式で書けるわけじゃない、ってことだね。じゃあ次は一般項が容易に求められる特殊な数列を紹介しておくよ。
$$2, 4, 6, 8, 10, 12, \cdots, 2n$$
のような数列。このとき、隣り合う項の差を公差という。等差数列では、初項\(a_{1}\)と公差\(d\)を用いて、一般項を\(a_{1}+d(n-1)\)と書くことができる。
超有名な数列だね。特に、中学受験では大活躍する数列だ。ようこちゃん、等差数列に関して、もう一つ重要な性質があるんだけど。
え〜と、\(2b = a+c\)のこと?
あ、そうそう、それ! \(a, b, c\)をこの順に並ぶ等差数列だと仮定すると、
\(2b = a+c\)が成り立つよね。証明は簡単で、交差を\(d\)とすると、\(b\)を基準に考えて、\(a = b-d, c = b+d\)だから\(a+c = 2b\)になるのがわかるね。
$$2, 4, 8, 16, 32, 64, \cdots, 2^{n}$$
のような数列。このとき、隣り合う項の比を公比という。等比数列では、初項\(a_{1}\)と公比\(r\)を用いて、一般項を\(a_{1}\cdot r^{n-1}\)と書くことができる。
いわゆる倍プッシュ数列。比が同じというのは、同じ数をかけていく、ということだからね。
等差数列と同じような性質としては、\(a, b, c\)がこの順に並ぶ等比数列の時、
\(b^{2} = ac\)が成り立つね。同じように\(a = \frac{b}{r}, c=br\)と書くと
\(a\times c = b^{2}\)になっているから。
ありがとう、ようこちゃん。その通りだね。等比数列と難関大学が融合すると、基本的には極限関係の問題に発展しやすいよね。例えば、等比数列の和を計算すると典型的には次のような形がでてくる。
$$S = \frac{r^{n} – 1}{r-1}$$
そうすると、公比の値に応じて場合分けが自動的に必要になってくるから、バランスの良い問題になりやすいんだよね。例えばこの場合だと\(|r| < 1\)の時なら
$$S = \frac{1}{1-r}$$
になり、\(|r| = 1\)なら\(S = 0\). \(|r| > 1\)なら発散するっていう感じ。
これだけの問題なら場合分けも自然にできるけど、一つ一つの式が複雑になってきたり、他の融合問題と一緒になると、つい忘れちゃうこともあるよね。
うん、これを自然にできるようにすることが日々の勉強で必要だってことだよね。等差数列と等比数列に加えて階差数列というのもあるけど、等差数列と等比数列の基本ができていれば大丈夫だから、そろそろ問題に移ろうか。
1975年 第3問 数列の基本【等差・等比】と三角関数
数列の基本が入ったこの問題から始めよう。ようこちゃん、最初の一手はどうする?
私なら、立式から始めるよ。せっかく復習してもらったんだし。
$$2\beta = \alpha+\gamma, \sin^{2}{\beta} = \sin{\alpha}\sin{\gamma}$$
が成り立つね。この二つの式を組み合わせると
$$\sin^{2}{ \frac{\alpha+\gamma}{2} } = \sin{\alpha}\sin{\gamma}$$
となる。ここからどうしようかな。
そうだね。ここまでくると、実はもう数列の問題じゃなくて、三角関数の問題になるね。これをうまく式変形してわかりやすい形に持っていきたいけど。
わかりやすい形にもっていくなら、三角関数の角度部分は合わせていきたいなぁ。だったら積和の公式を使うか。
$$\cos{(\alpha+\gamma)} = \cos{\alpha}\cos{\gamma} – \sin{\alpha}\sin{\gamma}, \cos{(\alpha-\gamma)} = \cos{\alpha}\cos{\gamma} + \sin{\alpha}\sin{\gamma}$$
の公式を使うと
$$2\sin{\alpha}\sin{\gamma} = \cos{(\alpha-\gamma)} – \cos{(\alpha+\gamma)}$$
だから、これは使えそうかな。
$$\begin{eqnarray}
2\sin^{2}{ \frac{\alpha+\gamma}{2} } &=& 2\sin{\alpha}\sin{\gamma} \\
&=& \cos{(\alpha-\gamma)} – \cos{(\alpha+\gamma)}\\
\end{eqnarray}$$
と、ここまで変形できたけど、これ以上進む?
ようこちゃん、もう方針はきまっているじゃん。角度を合わせるんだったら、まだ終わってないよね。
あ、そうか。倍角の公式を使えば、もう少し変形できる。
$$\cos{(\alpha+\gamma)} = 2\sin^{2}{ \frac{\alpha+\gamma}{2} } – 1$$
だから
$$2\sin^{2}{ \frac{\alpha+\gamma}{2} } = \cos{(\alpha – \gamma)} + 2\sin^{2}{ \frac{\alpha+\gamma}{2} } – 1$$
わぁ、消えるじゃん。ってことは
$$\cos{(\alpha – \gamma)} = 1$$
だから、いわゆるわかりやすい式になったね。ここからわかるのは、\(n\)を整数として
$$\alpha – \gamma = 2n\pi$$
ってことだね。ついでに
$$\beta – \gamma = \frac{\alpha – \gamma}{2} = n\pi$$
うん、良い感じ。じゃあ、実際に数列がどうなっているか確認してみよう。
\(\gamma\)を基本として、値を求めていくと\(\sin{\beta} = \sin{(\gamma+n\pi)}, \sin{\alpha} = \sin{(\gamma + 2n\pi}) = \sin{\gamma}\)とかける。そうすると、\(n\)が奇数か偶数の場合で分けると
$$\sin{\beta} = -\sin{\gamma} (n : odd), \sin{\gamma} (n : even)$$
あ、evenが偶数, oddが奇数の意味ね。まみは知ってると思うけど。ということは、\(n\)が偶数の時は
$$\sin{\gamma}, \sin{\gamma}, \sin{\gamma}$$
となって公比が1の等比数列になってる。\(n\)が奇数の時は
$$\sin{\gamma}, -\sin{\gamma}, \sin{\gamma}$$
となって公比が-1の等比数列になってる。というわけで、\(n\)を整数として
$$\alpha – \gamma = 2n\pi, \beta-\gamma = n\pi$$
となれば良い。
おっけい。良い感じだね。この問題は数列をだしにして、三角関数を味付けしたような問題だったね。割とやりやすい問題だったかな?
三角関数の変形でちょっとつまったでしょ。変形する時は、やっぱり何を意識して変形しているかを考えないとダメだね。今回の場合は、角度を揃えるってことを最後まで貫き通すってことだったけど。
うん。三角関数に限らないけど、式を変形する時はいつも「心」を大事にしないと。なんで、その変形をしているのかを常に意識しておくことだね。じゃあ、次の問題行ってみようか。
2000年 第5問 見た目は恐い積分との融合問題
$$c_{n} = (n+1)\int_{0}^{1}x^{n}\cos{\pi x}dx (n=1, 2, \cdots)$$
このとき
(1) \(c_{n}\)と\(c_{n+2}\)の関係を求めよ。
(2) $$\lim_{n\to \infty}c_{n}$$
を求めよ。
(3) (2)で求めた極限値を\(c\)とするとき、
$$\lim_{n\to\infty}\frac{c_{n+1}-c}{c_{n}-c}$$
を求めよ。
顔はかなり恐いけど、やってみると付き合いやすい積分でね。
どことなくフーリエ級数の形が見えるけど、まぁ、関係ないかな。確かに形としてはパターンの決まった積分だね。みるからに部分積分を使う形だ。三角関数や指数関数と整式との積分は部分積分がいけるから。
$$\begin{eqnarray}
c_{n+2} &=& (n+3)\int_{0}^{1} x^{n+2}\cos{\pi x}dx \\
&=& (n+3)\int_{0}^{1} x^{n+2}\left( \frac{1}{\pi}\sin{\pi x} \right)^{\prime} dx\\
&=&\left[ (n+3)x^{n+2}\left( \frac{1}{\pi}\sin{\pi x} \right) \right]_{0}^{1} – \frac{1}{\pi}(n+2)(n+3)\int_{0}^{1}x^{n+1}\sin{\pi x}dx \\
&=& \frac{1}{\pi}(n+2)(n+3)\int_{0}^{1}x^{n+1}\left( \frac{1}{\pi}\cos{\pi x} \right)^{\prime}dx\\
&=& \left[ \frac{1}{\pi^{2}}(n+2)(n+3)x^{n+1}\cos{\pi x} \right]_{0}^{1} – \frac{1}{\pi^{2}}(n+1)(n+2)(n+3)\int_{0}^{1}x^{n}\cos{\pi x}dx\\
&=& -\frac{1}{\pi^{2}}(n+2)(n+3)-\frac{1}{\pi^{2}}(n+2)(n+3)c_{n}\\
\end{eqnarray}$$
となって、これが求める形だね。
うん。これは難関大でよくでてくる、漸化式を導く積分だね。問題は(2)だ。
う〜ん。これ、どうするんだろう。
$$c_{n+2} = -\frac{1}{\pi^{2}}(n+2)(n+3)(1+c_{n})$$
と、かけるけど。もし、\(c_{n}\)が収束するなら、左辺が収束しなければいけないことと、右辺の\((n+2)(n+3)\)が発散することを考えると
$$1+c_{n} \to 0$$
が成り立つことがわかるんだけどな。
でも、問題文だけから\(c_{n}\)が収束することは説明できないよね。そうするとここに飛躍があるわけだ。
試しに、こんな形を書いてみると?
$$c_{n} = \int_{0}^{1}x^{n}\cos{\pi x}dx = \int_{0}^{\frac{1}{2}}x^{n}\cos{\pi x}dx + \int^{1}_{\frac{1}{2}}x^{n}\cos{\pi x}dx$$
定性的に考えると、第1項は正の値、第2項は負の値になっていて、しかも発散はしない形になっているのはわかるけど。
発散しない、というのはどうして?
だって
$$0 \leq \int_{0}^{\frac{1}{2}}x^{n}\cos{\pi x}dx \leq \frac{1}{2}$$
$$-1 \leq \int^{1}_{\frac{1}{2}}x^{n}\cos{\pi x}dx \leq 0$$
だから和をとると
$$-1 \leq c_{n} \leq \frac{1}{2}$$
となって発散しないことはわかる。ただ、\(c_{n}\)の値にまで追い込むにはまだ足りないなぁ。って、あれ、発散しないなら
$$c_{n+2} = -\frac{1}{\pi^{2}}(n+2)(n+3)(1+c_{n})$$
ここの式から、左辺が発散しないことがわかっているから、さらに右辺も発散してはならないという条件から、
$$\lim_{n\to\infty} (1+c_{n}) = 0$$
となって、\(c_{n} \to -1\)が成り立つのでは?
お〜、なんかちょっと風変わりな攻め方で求めてきたね。ただ、その方法だと必要条件のみから求めていて、十分性が確認できていないんじゃない? ていうのは、
$$\lim_{n\to\infty} (1+c_{n}) = 0$$
という条件が成り立ったときに本当に右辺が発散しないかどうかはわからないよね。
そうか。これが解答(必要十分条件)になるためには、十分性を示す必要があるけど、それはそれで一苦労だもんね。う〜ん、それなら別の方法をとるべきなのか。それだと、なかなか難しいなぁ。
ただ、ようこちゃんはすでに、解答のエッセンスを使っているんだよ。使い方がちょっと違うけどね。高校数学で、「発散しない」とか「収束する」ことを示すもっとも手取り方法はなんだ?
う〜ん、はさみうちかな?
そう、はさみうちの原理。はさみうちの原理は、予想できない極限値を求めるときにはあまり役に立たないけど、「予想できる極限値」を「証明」するときには絶大な効果を発揮するよ。そして、特に\(\sin{x}, \cos{x}\)などの三角関数とも相性がいいよ。なんでかっていうと、どっちも
$$-1 \leq \sin{x} \leq 1,\ -1 \leq \cos{x} \leq 1$$
という式があって、はさみうちにとても適した形をしているからだよね。
はさみうちか。あっ! それで(1)を使えってこと?
$$c_{n} = -\frac{\pi^{2}}{(n+2)(n+3)}c_{n+2} – 1$$
で、\(c_{n+2}\)を積分で書き換えると
$$c_{n} = -\frac{\pi^{2}}{n+2}\int_{0}^{1}x^{n}\cos{\pi x}dx – 1$$
ここで、\(\cos{\pi x}\)を不等式で評価すると
$$-\frac{\pi^{2}}{n+2}x^{n} \leq -\frac{\pi^{2}}{n+2}x^{n}\cos{\pi x} \leq \frac{\pi^{2}}{n+2}x^{n}$$
こうすると、左辺と右辺は積分が計算できる形だ。
$$-\frac{\pi^{2}}{n+2}\int_{0}^{1}x^{2}dx = -\frac{\pi^{2}}{n+2} \left[ \frac{1}{n+1}x^{n+1} \right]_{0}^{1} = -\frac{\pi^{2}}{(n+2)(n+1)}$$
だから、
$$\lim_{n\to\infty}-\frac{\pi^{2}}{n+2}\int_{0}^{1}x^{2}dx \to 0$$
同様に
$$\lim_{n\to\infty}\frac{\pi^{2}}{n+2}\int_{0}^{1}x^{2}dx \to 0$$
このとき、はさみうちの原理が使えて
$$\lim_{n\to\infty}-\frac{\pi^{2}}{n+2}\int_{0}^{1}x^{n}\cos{\pi x} = 0$$
となる。そうすると
$$\lim_{n\to\infty}c_{n} = -1$$
だね。
うん、これなら文句の言われようのない解答だよね。一見見た目の悪い式の極限値というのは、はさみうちを見こして不等式を使って変形していくというのが鍵だね。じゃあ、最後(3)をやっちゃおう。
(3)は今まで求めたものを使えば自然とできそうだね。
$$1+c_{n} = -\frac{\pi^{2}c_{n+2}}{(n+2)(n+3)}$$
$$1+c_{n+1} = -\frac{\pi^{2}c_{n+3}}{(n+3)(n+4)}$$
だから
$$\begin{eqnarray}
\lim_{n\to\infty}\frac{c_{n+1}-c}{c_{n}-c} &=& \lim_{n\to\infty}\frac{c_{n+1}+1}{c_{n}+1}\\
&=& \lim_{n\to\infty}\frac{(n+2)c_{n+3}}{(n+4)c_{n+2}}\\
&=& 1
\end{eqnarray}$$
だね。
うん。その通り! (3)はボーナス問題だったのかな。たまにあるんだよね。(1), (2)が解けた人にボーナス的な問題を出題すること。
ちょっと(2)がやりづらいけど、こういう問題って(1)と(3)だけ解いてもいいのかなぁ?
まぁ、解ける問題から攻めるというのはいいけど、この問題の場合って(2)が解けないと(3)って解けないんじゃない?
あ、ごめん、それもそうか。次はちょっとやりやすい問題がいいなぁ。
よし、じゃあこれで。
1970年 第2問 露骨な帰納法の問題
$$\left( \frac{n+1}{2} \right)^{n} > n!$$
を証明せよ。ここに\(n\)は2以上の整数とする。
数学的帰納法は、数列の一種ってことで今日は参戦決定。ようこちゃんならこの問題、スムーズに解けるかな?
まぁ、やってみないとね。じゃあ、まずは帰納法の作法にしたがって攻めていくよ。初期条件は2だね。
\(n=2\)のとき、
$$\left(\frac{3}{2}\right)^{2} = \frac{9}{4} > 2! = 2 $$
となって成立。次に\(n=k\)のときに
$$\left( \frac{k+1}{2} \right)^{k} > k!$$
が成り立つと仮定する。そして示すべきことがらは
$$\left( \frac{k+2}{2} \right)^{(k+1)} > (k+1)!$$
だね。だから、左辺をうまく変形して右辺を示せばいいのかな。
不等式シリーズなら、一度制覇してるもんね。
そうだね。まぁ、まずは式を書き下して、目的の形に近づけていこう。
$$\begin{eqnarray}
\left( \frac{k+2}{2} \right )^{(k+1)} &=& \left( \frac{k+1}{2}+\frac{1}{2} \right)^{k+1}\\
&=& \left( \frac{k+1}{2} \right)^{k+1} + \left( \frac{k+1}{2} \right)^{k}\cdot \frac{1}{2} \cdot _{k+1}C_{1} \\
&+& \left( \frac{k+1}{2} \right)^{k-1} \cdot \left(\frac{1}{2}\right)^{2} \cdot _{k+1}C_{2}
+ \cdots + \left( \frac{1}{2} \right)^{k+1}\\
\end{eqnarray}$$
とここまできた。あと一歩って感じだなぁ。帰納法の不等式問題では、帰納法の仮定を使うことが重要だから、
$$\left( \frac{k+2}{2} \right )^{(k+1)} > \frac{k+1}{2}\cdot k! + k! \cdot \frac{k+1}{2} + \cdots + \left( \frac{1}{2} \right)^{k+1}$$
あ、そうか。求めたい式は\((k+1)!\)なんだから、第1項、第2項だけで十分か。
$$\left( \frac{k+2}{2} \right )^{(k+1)} > (k+1)!$$
となって、\(n=k+1\)も成立する。ゆえに、数学的帰納法により、2以上のすべての自然数について題意が成り立つ。
うん、バッチリ。この大学の証明問題にしては珍しく、数学的帰納法を指定するタイプの問題だったね。でもやりやすかったでしょ。
そうだね。かなり解きやすかった。ただ、慣れていないと、最初の変形は難しいかも。
$$\left( \frac{k+2}{2} \right )^{(k+1)} = \left( \frac{k+1}{2}+\frac{1}{2} \right)^{k+1}$$
ここの変形だね。確かに、「形を揃える」というのは常套手段だけど、パターンとして掴んでないと思いつきにくいかもね。
じゃあ、今度は、ちょっととっつきにくい問題にしようか。
1980年 第5問 等差数列の不思議な性質
「\(S\)から相異なる要素\(a_{i}, a_{j}\)をとれば、\(a_{i}-a_{j}, a_{j}-a_{i}\)の少なくとも一方は必ず\(S\)に属する」
このとき、
(ⅰ) 次の二つのうちのいずれか一方が成り立つことを示せ。
(イ)\(a_{i}\geq 0\ (i=1, 2, \cdots, n)\)
(ロ)\(a_{i}\leq 0\ (i=1, 2, \cdots, n)\)
(ⅱ)\(a_{1}, a_{2}, \cdots, a_{n}\)の順序を適当に変えれば等差数列になることを示せ。
これはかなりやりづらい問題かも。式変形とか、学校で習うこととかがほとんど全く役に立たないからね。
いや、本当に方針が立たないなぁ。(1)は集合の全ての要素が全部0以上か全部0以下のどちらかであることを証明せよっていう問題だね。っていうか、それくらいしかわからないけど。
さぁ、どうするかな? ようこちゃん。
例えば、\(n-1\)個が正の数で1個が負の数だとして考えてみるくらいかなぁ。それで、条件に合わないことを一旦は示せるはず。問題文の条件は、任意の2つの要素を選んだとき、その差をもつ要素が\(S\)の中に含まれるってことだけど。今の場合はどうなんだろう。
ようこちゃん、もう少し特別な場合を考えてみたらどうだろう。具体的に正の数とか負の数を決めてみたら?
そうだね。じゃあ要素の数を全部で5つにして、正の数を\(1, 2, 3, 4\)にして負の数を\(-1\)としよっかな。この場合で成り立たないのは、\(-1, 4\)の組み合わせかな。\(-1 – 4 = -5\)で\(S\)には含まれない。\(4 – (-1) = 5\)で\(S\)には含まれない。
うん、いいね。じゃあ、例も試してみる?例えば、正の数を\(1, 2, 3\), 負の数を\(-1, -2\)とすると?
その場合は\(2, -2\)を選んだ場合と\(3, -1\), \(3, -2\)を選んだ場合がダメだね。
そんな感じ。で、こういう実験の目的は、問題文をわかりやすく理解することだけじゃなくて、もっと重要なことがあるんだよ。つまり、それは、一般化すること。具体例を一般化することができれば、それが解答になるんだからね。
一般化、というと、具体例の中から他の例にも共通することを引っ張ってくることだよね。
そうだよ。それが実験の最大の目的。例えば、漸化式が与えられたとき、適当に代入をして値を求めて、そこから一般項を推定するというのもまさに一般化をしているんだよね。そして、”一般化”というのはそれを証明しなければ、ただの推定に終わってしまう。だから、漸化式の例だったら数学的帰納法で、その一般項を証明することになるけど、これは、別に他の場合でもそう。一般化をするときには、最初は「推定」、次に「証明」とこの二つのステップが重要。
そうだね。科学技術もそうやって進歩してきたけど、高校数学の場合は特に「証明」は100%正しいはずだからね。
じゃあ、本題に戻るけど、どうやって一般化する?
とりあえず、今二つの場合で共通することは、正の数でもっとも大きい値と負の数でもっとも小さい値を選んだときは、問題文を満たさなかった。それで、これが一般化できるかどうかってことだけど、う〜ん、これはできそうな気がするけど。ちょっと考えてみるね。
うん。ちなみに、このことが一般化できるなら、反対の場合、負の数の中に正の数が混じっている場合も含めて証明できることになるね。
\(\cdots\cdots\)うん、わかった。じゃあ、説明するね。
0以上の\(a_{i}\)の数を\(k\)個とし、その中で最大の数を\(A\), 0より小さい\(a_{i}\)の数を\(m\)個とし、その中で最小のものを\(a\)とする。このとき
$$A – a > A,\ a – A \leq a$$
が成り立つ。よって、\(A, a\)を選んできたときは、\(S\)の要素の条件を満たすためには、\(k=1\)または\(k=0\)でなければならないよね。それで、どちらの場合でも\(m=0\)となる。\(k=1\)のときは、その要素は0でなければならない。\(m=0\)であれば問題文の条件(イ)が成立する。 \(k=0\)または\(k=1\)かつ要素の数が0であれば、問題文の条件(ロ)が成立する。
うん、スッキリまとめたね。こうやって発想ができると、取り組みにくい問題でも割と解けるでしょ。
確かに、でも、まだもう1問、残ってる。\(a_{1}, a_{2}, \cdots, a_{n}\)の順序を適当に変えれば等差数列になることを示せ。という問題だね。
「適当に変えれば」という意味はどういうことかわかる?
適当に変えれば、という意味でしょ。な〜んて、この場合は、おそらく大きい順に入れ替えれば、ってことかな。これはなんかできる気がするなぁ。仮に大きい順に並び替えた数列を
$$a_{i_{1}}, a_{i_{2}}, a_{i_{3}}, \cdots, a_{i_{n}}$$
とおくことにすると、この順に大きな数になっているから例えば\(a_{i_{2}} – a_{i_{1}}\)が\(S\)に含まれなければならない。それで、この数は\(a_{i_{2}}\)より小さい数だから、\(a_{i_{1}}\)しかない。そうすると
$$a_{i_{2}} – a_{i_{1}} = a_{i_{1}} \leftrightarrow a_{i_{2}} = 2a_{i_{1}}$$
となる。次に、\(a_{i_{3}} – a_{i_{1}}\)は\(S\)に含まれ、この数は\(a_{i_{3}}\)より小さく、またどの要素も相異なるから\(a_{i_{1}}\)ではない。すると
$$a_{i_{3}} – a_{i_{1}} = a_{i_{2}} \leftrightarrow a_{i_{3}} = 3a_{i_{1}}$$
また、\(a_{i_{4}} – a_{i_{1}}\)は\(S\)に含まれ、この数は\(a_{i_{1}}, a_{i_{2}}\)とも異なるから
$$a_{i_{4}} – a_{i_{1}} = a_{i_{3}} \leftrightarrow a_{i_{4}} = 4a_{i_{1}}$$
以下同様にしていくと
$$a_{i_{n}} – a_{i_{1}} = a_{i_{n-1}} \leftrightarrow a_{i_{n}} = na_{i_{1}}$$
となる。つまり、\(a_{i_{1}} = aとおくと\)
$$a, 2a, 3a, 4a, \cdots\cdots, na$$
という数列になり、これは等差数列となる。どう?
大正解! と言いたいところだけど、ポイントは2つかな。1つめのポイントは、解答にするときは「同様にしていくと」というよりは帰納法で示した方がいいということだね。あとは、\(a_{i_{1}}\)に対する意識かな。
\(a_{i_{1}}\)に対する意識? あ、そうか。0を忘れてた。もし\(a_{i_{1}}=0\)だったら、上の数列は全部0になっちゃうのか。それは「すべてが相異なる要素」であることと矛盾しちゃうんだね。そうすると今の答えは\(a_{i_{1}}\neq 0\)の場合で、もし\(a_{i_{1}} = 0\)の場合は、\(a_{i_{2}} = b\)として
$$0, b, 2b, 3b, 4b, \cdots\cdots, (n-1)b$$
ってなるね。ただ、この場合も等差数列であることにかわりはないから、大丈夫なのか。
そうそう。つまり、場合分けが必要だね。どうだった? この問題、証明の仕方が高校数学でよくやる手法とは違うから、こういう問題を一度経験しておかないとかなり手こずる問題だね。
うん、いい問題かな。新しいタイプの証明。
気を取り直して、今度は典型問題をやってみよう。
2002年 第1問 極限と漸化式の基本融合問題
$$ a_{1}=1, \lim_{n\to\infty}S_{n}=1, n(n-2)a_{n+1} = S_{n}\ (n \geq 1)$$
を満たすとき、一般項\(a_{n}\)を求めよ。
これは、かなり基本問題だよ。ただ、極限の基本と漸化式を利用した数列の基本問題が融合しているから、少しだけややこしくなっているけど。
うん、でもさっきとは違って、やり方は決まってくるよね。まず数列の和と一般項の関係として
$$S_{n} – S_{n-1} = a_{n-1}$$
が使える。これは教科書にも載っている重要な公式だ。これを使うと
$$\begin{eqnarray}
n(n-2)a_{n+1} – (n-1)(n-3)a_{n} &=& a_{n}\\
n(n-2)a_{n+1} &=& (n^{2}-4n+4)a_{n}\\
n(n-2)a_{n+1} &=& (n-2)^{2}a_{n}\\
\end{eqnarray}$$
ここで、\(n\geq3\)の範囲では
$$na_{n+1} = (n-2)a_{n} \leftrightarrow a_{n+1} = \frac{n}{n-2}a_{n}$$
う〜ん、やっぱり、いつもの形にはならないか。
ようこちゃん、これが難関大学のいつもの形だよ。等差数列とか等比数列とかよりも分数の形がよく現れる形だよ。
まぁ、確かに計算はできるよ。
$$\begin{eqnarray}
a_{n} &=& \frac{n-3}{n-1}a_{n-1}\\
a_{n-1} &=& \frac{n-4}{n-2}a_{n-1}\\
a_{n-2} &=& \frac{n-5}{n-3}a_{n-1}\\
\cdots\cdots
a_{5} &=& \frac{2}{4}a_{4}\\
a_{4} &=& \frac{1}{3}a_{3}\\
\end{eqnarray}$$
この式を連鎖的に使うと
$$a_{n} = \frac{n-3}{n-1}\cdot\frac{n-4}{n-2}\cdot\frac{n-5}{n-3}\cdot\frac{2}{4}\cdot\frac{1}{3}a_{3} = \frac{2\cdot a_{3}}{(n-1)(n-2)}$$
それで、\(a_{1}, a_{2}, a_{3}\)を調べる必要があるよね。\(a_{1}=1\)なら\(S_{n}\)の式を使って\(a_{2} = -1\)となるけど、\(n=2\)を代入しても\(a_{3}\)が求められないね。それを最後の極限の条件から求めるってことか。
うん。\(n\geq 3\)以上で成り立つ一般項の式は、和を簡単に求められる形をしているから。
そうだね。いわゆる部分分数分解をやればいいんだね。
$$\sum_{k=3}^{n}a_{k} = \left\{ \left( \frac{1}{1}-\frac{1}{2} \right) + \left( \frac{1}{2}-\frac{1}{3} \right) + \cdots\cdots + \left( \frac{1}{n-2}-\frac{1}{n-1} \right) \right\}\times 2a_{3}$$
つまり
$$\sum_{k=3}^{n}a_{k} = \left(1 – \frac{1}{n-1}\right)\times 2a_{3}$$
なので、
$$S_{n} = a_{1} + a_{2} + \sum_{k=3}^{n}a_{k} = 2a_{3} -2\frac{1}{n-1}$$
$$\lim_{n\to\infty}S_{n} = 2a_{3} = 1 \leftrightarrow a_{3} = \frac{1}{2}$$
となる。ってことで、\(n\geq3\)のとき
$$ a_{n} = \frac{1}{(n-1)(n-2)} $$
これは\(a_{1}=1, a_{2}=-1\)のときを含んでいないから別々に分けて書く必要があるね。ってことで、
$$a_{1} = 1, a_{2} = -1, a_{n} = \frac{1}{(n-1)(n-2)}\ (n\geq3)$$
かな。
うん。これは完璧だね。ようこちゃんは、基本問題は正確に解き切るから、融合されても大丈夫っぽいねぇ。
うん。基本的に経験とパターンに押し込めれば、高校数学の受験問題なら解けるからね。
そっかぁ。じゃあ、次は少しパターンを外した問題をチョイスするよ。
1976年 第4問 数列を変数\(x\)に見立てた3次関数との融合
$$a_{n}^{3}+3a_{n}^{2}-\left( 9+\frac{1}{n} \right)a_{n}+5<0$$
を満たしているとき、次の(ⅰ), (ⅱ)を証明せよ。ただし、(ⅱ)を先に証明しても良い。
(ⅰ)$$\lim_{n\to\infty}a_{n} = 1$$
(ⅱ)$$(a_{n}-1)^{2}<\frac{1}{4n}$$
この問題、工夫して作られていると思うよ。特に(ⅱ)の不等式の評価は面白いかも。
問題文に与えられている不等式はかなり作意的だけど、まぁ、因数分解できそうな形しているよね。\(\frac{1}{n}\)を除けば。ってことで、因数分解してみよう。
$$\begin{eqnarray}
a_{n}^{3} + 3a_{n}^{2}-9a_{n}+5-\frac{a_{n}}{n} &<& 0\\
(a_{n} – 1)^{2}(a_{n}+5) &<& \frac{a_{n}}{n}\\
(a_{n}-1)^{2} &<& \frac{a_{n}}{n(a_{n}+5)}\ (n>0, a_{n}>0)\\
\end{eqnarray}$$
ん〜、これで、目的の式には近づいてきたけど、どうするかなぁ。とりあえず、右辺は1より小さいことがわかるから
$$(a_{n}-1)^{2} < \frac{a_{n}}{n(a_{n}+5)} < 1$$
を解いてみると\(a_{n} < 2\)が成り立つ。この結果をもう一度使ってみるかなぁ? あ、でもその前に
$$\frac{a_{n}}{a_{n}+5}$$
がどういう関数かを調べておこう。\(f(x) = \frac{x}{x+5}\)と置いて、これを微分すると
$$f^{\prime}(x) = \frac{5}{(x+5)^{2}}$$
だから、単調増加になってる。すると、\(a_{n} < 2\)であることから
$$ \frac{a_{n}}{a_{n}+5} < \frac{2}{7} $$
うん、それいいね。この場合、不等式を1回使っただけだとうまくいかないけど、何回か使っていくとどんどん精度が上がっていくんだよね。ちなみに、ようこちゃん、今の条件だけで実は(ⅰ)を証明できるんだけど、どうする?
う〜ん、このまま(ⅱ)を証明していこうかなぁ。
$$ \frac{a_{n}}{a_{n}+5} < \frac{2}{7} < \frac{1}{3} $$
だから
$$\begin{eqnarray}
(a_{n}-1)^{2} &<& \frac{1}{3}\\
a_{n} &<& 1+\frac{\sqrt{3}}{3}\\
\end{eqnarray}$$
さて、え〜と、ところで結局何をすればいいんだっけ。
ようこちゃん、それ一番大事なとこ。
$$(a_{n}-1)^{2}<\frac{1}{4n}$$
を示せばいいから
$$\frac{a_{n}}{a_{n}+5} < \frac{1}{4}$$
を示せばいい。ってことは
うん。
$$a_{n} < \frac{5}{3}$$
を示せばいい。え〜と、ってことは終わってるなぁ。
$$a_{n} < 1+\frac{\sqrt{3}}{3} < \frac{4.8}{3} < \frac{5}{3}$$
で、示せた。面白いね。同じ不等式を2回使うと精度が上がっていくというのは。
そうだよね。ちなみに、(ⅰ)が残っているけど。
まぁ、はさみうちの原理を使うよ。
$$0 \leq (a_{n}-1)^{2} < \frac{1}{4n}$$
$$\lim_{n\to\infty}\frac{1}{4n} = 0$$
よって、はさみうちの原理より
$$\lim_{n\to\infty}(a_{n}-1)^{2} = 0$$
ゆえに、\(a_{n} = 1\)
うん、正解だね。もちろん不等式を使わないで、関数として捉えて解く方法もあるんだけど、こういう風に同じ不等式を何回か使って制限を狭めていくという方法があるというのは、一度経験しておいてもいいんじゃないかな。
うん、あまり見ないタイプだからね。ところで、数学的帰納法も今回のテーマなんだよね。数学的帰納法で、さっきと別バージョンの問題もある?
あるよ。じゃあ、こんな問題はどう?
2010年甲 第4問 すべては0になる
$$0\leq 3a_{n}\leq \sum_{k=1}^{n}a_{k}$$
を満たしているとする。このとき、すべての\(n\)に対して\(a_{n} = 0\)であることを示せ。
数学的帰納法で示せ、という問題ではないけど、一目見たら「帰納法スイッチ」が入りそうな問題だよね。ってことでやってみよう。
帰納法スイッチ? どういうこと?
あたしの帰納法スイッチは、
1. すべての\(n\)に対する証明
2. \(n-1\)またはそれ以下のものと\(n\)とに関係が与えられるとき
の二つが満たされたら入るんだけど、今回は両方ともあるよね。
変なスイッチ持ってるね。とりあえず、帰納法で解いてみたくはなる。
\(n=1\)のとき, \(0\leq 3a_{1} \leq a_{1}\)より\(a_{1} = 0\).
これで初期条件はクリアだね。じゃあ、次は
\(n=k\)のとき、って仮定したくなるけど、この問題で与えられている関係は
$$3a_{n} \leq \sum_{k=1}^{n}a_{k}$$
だから、\(n=k\)以下全てを仮定したくなるのが人情だね。
その通り、帰納法では、同じ初期条件だけで、\(n=k\)だけを仮定してもいいし、\(n=k\)以下すべてを仮定することもできるんだ。なぜかは帰納法の原理をみていけばわかるよね。\(n=k\)以下全てを仮定して、\(n=k+1\)が成り立つことを示せたとしよう。\(n=1\)が成り立つなら\(n=2\)が成り立つことになるよね。そうすると\(n=1, 2\)が成り立つので\(n=3\)が成り立つ、っていうのを繰り返すと結局すべての\(n\)で成り立つことがわかるってわけだね。
じゃあ、\(n=k\)以下すべての\(i\)で\(a_{i} = 0\)が成り立つとする。すると
$$0\leq 3a_{k+1}\leq a_{1}+a_{2}+\cdots+a_{k+1} = a_{k+1}$$
だから\(a_{k+1} = 0\)となり、\(n=k+1\)のときも成り立つ。よって数学的帰納法によりすべての自然数\(n\)について、\(a_{n}=0\)
こんな感じかな。
うん、これが帰納法の別パターンの一つだよ。帰納法ついでに、数列の漸化式を用いた問題で、難関大が好んで出題する問題をやってみよっか。類題は一橋大学、東京大学でも出題されてるよ。
1994年 第2問 あまりの周期性
$$c_{n} = b_{0} + \cdots + b_{n}$$
とおく。
(1) \(b_{0}, \cdots, b_{9}\)を求めよ。
(2) \(c_{n+8} = c_{n}+c_{7}\)であることを示せ。
(3) $$n+1 \leq c_{n} \leq \frac{3}{2}(n+1)$$
が成り立つことを示せ。
この問題も1度は解いておきたい問題だよ。ようこちゃんは経験ある?
う〜ん、どうだろう。解いてみないと。とりあえず、(1)はただ計算すればできるかな。
$${a_{n}} = {1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89, 144, \cdots}$$
だからこれを3で割った余りがそれぞれ\(b_{n}\)に対応しているんだね。
$$b_{0} = 1, b_{1} = 2, b_{2} = 0, b_{3} = 2, b_{4} = 2, b_{5} = 1, b_{6} = 0, b_{7} = 1, b_{8} = 1, b_{9} = 2$$
かな。
うん、それで正解だよ。で、(2)だね。この問題を解く前に、こないだ約束していた”mod”を復習しておこうかな。
いよいよ、”mod”を使うときが来たか。
と言っても、高校数学で使うレベルでは、計算量が減って、少しみやすくなるくらいだけどね。
十分だよ、ぜひ教えて欲しいなぁ。
$$a \equiv b\ (mod\ r)$$
とかく。\(a\)は\(r\)を法として\(b\)と合同である、と読む。
定義自体は難しくないよね。重要なのは何で割ったあまりなのか、ということだね。合同記号を書くときは必ずmod なんとかを書かないとダメなんだ。そして、ここからが合同式の見せ場だよ。
1. \(a+c \equiv b+d\ (mod\ r)\)
2. \(a-c \equiv b-d\ (mod\ r)\)
3. \(ac \equiv bd\ (mod\ r)\)
4. \(a^{n} \equiv b^{n}\ (mod\ r)\) ただし\(n\)は自然数
これらの性質を示すときには、整数をあまりで分類して表現する式を使うと簡単だね。例えば、\(x, y, u, v, k, m\)を整数として\(a = rx+k,\ b = ry+k\), \(c = ru+m,\ d = rv+m\)などと置いて計算すれば証明できるよ。
こういう性質があるなら、合同式を使うときは、和と差、積は通常通りの作法で計算していいってことだね。
うん。じゃあ、せっかくだし、合同式を使って、この問題を解いてみる?
(2)のことだよね? \(c_{n}\)に関する周期性を求めるわけだけど、(1)をみる限り、\(b_{0}, b_{1}\)と\(b_{8}, b_{9}\)がシンクロしているね。つまり、\(b_{n+8} = b_{n}\)が予想できる。つまり、\({b_{n}}\)は周期が8の数列と予想できる。これが証明できると、\(c_{n+8} = c_{n}+c_{7}\)が成り立つ。なんでかというと、\(c_{n+8}-c_{n}\)は\(n+1\)から\(n+8\)までの8つの\(b_{n}\)の和を計算したもので、周期が8なら、連続する8つの\(b_{n}\)の和はいずれも等しいから\(c_{7}\)のように\(b_{0}\)から\(b_{7}\)までの和を選んでも一緒だからね。
うん。ということは、ようこちゃんが予想した\(b_{n+8} = b_{n}\)を証明すればいいということだけど、合同式が使える?
う〜ん、1個ずつやってみるよ。今の合同式はmod 3で考えればいいね。
$$a_{n+3} = a_{n+2} + a_{n+1} = 2a_{n+1}+a_{n}$$
ここは通常の等式だね。
$$a_{n+4} = a_{n+3}+a_{n+2} = 3a_{n+1}+2a_{n} \equiv 2a_{n}$$
ここで、合同式を一発使ってみた。じゃあ、これを続けていくよ。
$$\begin{eqnarray}
a_{n+5} &=& a_{n+4} + a_{n+3} = 2a_{n+1}+3a_{n} \equiv 2a_{n+1}\ (mod\ 3)\\
a_{n+6} &=& a_{n+5} + a_{n+4} \equiv 2a_{n} + 2a_{n+1}\\
a_{n+7} &=& a_{n+6} + a_{n+5} \equiv 2a_{n} + 4a_{n+1} \equiv 2a_{n}+a_{n+1}\\
a_{n+8} &=& a_{n+7} + a_{n+6} \equiv 4a_{n} + 6a_{n+1} \equiv a_{n}\\
\end{eqnarray}$$
よし、これで\(a_{n+8}, a_{n}\)を3で割った余りはそれぞれ等しいから
$$b_{n+8} = b_{n}$$
となるね。そうすると、さっきの議論によって
$$c_{n+8} = c_{n}+c_{7}$$
も示せる。
うん。この漸化式を用いた合同式の使い方は重要だから、覚えておきたいよね。んで、(3)はどうする? ようこちゃん。
まぁ、流れとしては帰納法かなぁ。ただ、この帰納法の使い方もちょっと特殊じゃない?
うん。まぁ、違うといえば違うけど、ほとんど同じかな。一応8個飛ばしだけど、前の式と今の式を漸化式で結んでいるわけだからね。
1個ずつやろうとするとちょっと面倒だよね。だって、\(n\)が8の倍数のとき、8の倍数+1, 8の倍数+2, って感じで8つも試さないといけないんだ。あれ、でもこれって一気に示せるかなぁ。例えば初期条件としてすべてのパターンを示しといて、あとは\(n = 8k+i\)とか置いてやれるかも。
いいセンスだね。その方針でいいと思うよ。
ってことはまず\(c_{0}\)から\(c_{7}\)がすべて満たすことを示しておけばいいんだ。
$$\begin{eqnarray}
1&\leq& c_{0} = 1 \leq \frac{3}{2}\\
2&\leq& c_{1} = 3 \leq \frac{6}{2}\\
3&\leq& c_{2} = 3 \leq \frac{9}{2}\\
4&\leq& c_{3} = 5 \leq \frac{12}{2}\\
5&\leq& c_{4} = 7 \leq \frac{15}{2}\\
6&\leq& c_{5} = 8 \leq \frac{18}{2}\\
7&\leq& c_{6} = 8 \leq \frac{21}{2}\\
8&\leq& c_{7} = 9 \leq \frac{24}{2}\\
\end{eqnarray}$$
で、初期条件はOK. さぁ、次はこんな感じで仮定するよ。
\(n=8k+i,\ (0\leq i\leq 7)\)で\(k\)は0以上の整数とするとき、
$$8k+i+1 \leq c_{8k+i} \leq \frac{3}{2}(8k+i+1)$$
$$c_{8(k+1)+i} = c_{8k+i} + c_{7}$$
で、\(c_{7} = 9\)より
$$8(k+1)+i+1\leq 8k+i+10 \leq c_{8(k+1)+i} \leq \frac{3}{2}(8k+i+7)\leq \frac{3}{2}(8(k+1)+i+1)$$
となって\(k+1\)のときも成立。ゆえに、0以上の整数すべてに対して成立する。どうだ。ああ〜、疲れた。
お疲れ様、ようこちゃん。うん、いいよ。いい感じだね。さすがにようこちゃんは帰納法には強いね。
帰納法はパターンが決まってるからね。そのパターンの当てはめと少しの工夫で問題が解けるから、割と好きだよ。
じゃあ、この問題はどうかな?
2013年 第2問 コワイのは形だけ
(ⅰ)\(a_{1} = 2^{N}-3\)
(ⅱ) \(n=1, 2, \cdots\)に対して、
\(a_{n}\)が偶数のとき\(a_{n+1} = \frac{a_{n}}{2}\), \(a_{n}\)が奇数のとき\(a_{n+1} = \frac{a_{n}-1}{2}\)
このときどのような自然数\(M\)に対しても
$$\sum_{n=1}^{M}a_{n}\leq 2^{N+1}-N-5$$
が成り立つことを示せ。
ちょっと変わった漸化式だけど、今まで、いろんな問題を解いてきて、ようこちゃんならどう攻める?
パッと見てよくわからないから、やっぱり実験かなぁ。
$$\begin{eqnarray}
a_{1} &=& 2^{N}-3 \\
a_{2} &=& 2^{N-1} -2 \\
a_{3} &=& 2^{N-2} -1 \\
a_{4} &=& 2^{N-3} -1 \\
a_{5} &=& 2^{N-4} -1 \\
\end{eqnarray}$$
って感じで、う〜ん、そうか。
ようこちゃん、実験したら「推定」および「証明」の一般化が大事だよ。
うん、わかったのは三つ、\(N \geq 3\)なら、\(n\geq3\)のときには常に奇数\((2^{N-n+1} – 1\)の形)になるということ。ある自然数\(m\)で\(a_{m}=0\)になるということ。そして、ある自然数\(m\)で\(a_{m}=0\)になるならそれ以降の\(n\)で必ず\(a_{n}=0\)になるということ。
お〜、バッチリだね。ただ、ようこちゃん、、、。
まみの言いたいこと、わかっているよ。場合分け、でしょ。もちろん忘れないよ。今の場合だと、一つ目は実は\(N=2\)のときには注意しないといけないということだよね。\(N=2\)のときは\(a_{2}=0\)になってしまう。ってことは、場合分けが必要だってことだね。
さて、じゃあどうやって証明していくかなぁ。まず、\(N\leq 3\)の時だけを考えて、一つ一つ証明しようか。
なるほど、うん、それでいいと思うよ。
よし、じゃあ証明しに行くよ。帰納法かなぁ。もう飽きてきたよ。まず、一つ目から。「\(n\geq3\)のときには常に奇数(2^{N-n+1} – 1の形)になるということ」を示すよ。
\(n=3\)のとき、\(a_{3} = 2^{N-2}-1\)より、今\(N\geq 3\)を考えているから成立。
\(n= k (k\geq3)\)のとき、\(a_{k} = 2^{N-k+1} – 1\)となることを仮定する。漸化式より\(a_{k+1} = a^{N-(k+1)+1} -1 \)となり\(n=k+1\)のときも成立。数学的帰納法により、\(n \geq 3\)の時のすべての自然数について成立。
これで、一つ目は示せたね。次は二つ目。
今の議論から、\(n\geq3\)のとき、\(a_{n} = 2^{N-n+1} – 1\)となることから、\(n = N+1\)のとき、\(a_{n} = 0\)となる。よって、「ある自然数\(m\)で\(a_{m}=0\)になるということ」を示せた。よし、じゃあ、最後!
「ある自然数\(m\)で\(a_{m}=0\)になるならそれ以降の\(n\)で必ず\(a_{n}=0\)になるということ」を示すよ。今の場合、\(m = N+1\)と置いていいね。
\(n=N+1\)のとき、\(a_{N+1}=0\)より成立する。
\(n=k\ (k\geq N+1)\)のとき、\(a_{k} = 0\)と仮定する。
\(n = k+1\)のとき、漸化式の関係から\(a_{k+1} = 0\)となり、成立。
以上から、数学的帰納法により\(n\geq N+1\)のときのすべての自然数について、\(a_{n} = 0\)となることを示せた。
う〜ん、3つ示さないといけないのは面倒だけど、一つ一つは簡単な証明だね。
そうだね。ここまでで準備は整ったわけだけど、\(N\geq3\)のときの問題の不等式を証明する?
そうだね。よし、じゃあ今までの条件をフルに使っていくよ。まず一番やりやすい\(M=N+1\)の時を示してみる。
$$\begin{eqnarray}
\sum_{n=1}^{M}a_{n} &=& \sum_{n=1}^{N+1}a_{n}\\
&=& a_{1}+a_{2}+\sum_{n=3}^{N+1}a_{n}\\
&=& a_{1}+a_{2}+\sum_{n=3}^{N+1}(2^{N+1-n} -1)\\
&=& 2^{N}-3 + 2^{N-1}-2 + \sum_{n=3}^{N+1}(2^{N+1-n} -1)\\
&=& 2^{N}-1 + 2^{N-1}-1 + \sum_{n=3}^{N+1}(2^{N+1-n} -1) – 3\\
&=& \sum_{n=1}^{N+1}(2^{N+1-n} -1) – 3\\
&=& \sum_{n=1}^{N+1}(2^{n} -1) – 3\\
&=& \frac{2(2^{N}-1)}{2-1} – 3 – N \\
&=& 2^{N+1} – N -5\\
\end{eqnarray}$$
おお、これは綺麗な結果。ということは先に示したことから\(M\geq N+1\)のときには
$$\sum_{n=1}^{M}a_{n} \leq 2^{N+1} – N -5$$
が言えるね。まぁ、等号が成立するということだけど。それで、、、。\(M\geq N+1\)のときには、もしすべての\(a_{n}\)が0以上の数ということを示しておけば、\(M\leq N+1\)のときにも
$$\sum_{n=1}^{M}a_{n} \leq 2^{N+1} – N -5$$
も示せる。今、\(N\geq3\)を仮定しているから、\(a_{1}\geq0, a_{2}\geq0\)で\(n\geq3\)のときにも\(a_{n} = 2^{N+1-n} -1 \geq 0\)となる。よって、\(M\leq N+1\)のときにも\(\sum_{n=1}^{M}a_{n} \leq 2^{N+1} – N -5\)を示すことができるね。
うん、結構示さないといけないことがあるから、問題としては大変なんだよね。それで、あと最後の一歩だね。
うん、\(N=2\)の場合を考えないとダメだよね。
\(N=2\)のとき、\(a_{1}=1, a_{2}=0\)で、それ以降の\(a_{n}\)については、先に示したことがそのまま適用できるから、\(n\geq 3\)のときに\(a_{n}=0\)となるから、
$$\sum_{n=1}^{1}a_{n} = 1 \leq 1, \sum_{n=1}^{2}a_{n} = 1 \leq 1$$
\(M\geq 3\)のときについても
$$\sum_{n=1}^{M}a_{n} \leq 1$$
となり、成立する。
はぁ、これでいいのかな?
うん。問題用紙に残す「下書き」としては完璧。あとは、この議論の流れを解答用紙に整然と書いていけば大丈夫だね。
まぁ、確かに、ちょっとバラバラっとしている感じだもんね。
この問題って、実験すればその全貌をほとんど丸裸にできるけど、どういう手順で、どういうことを示していけばいいのかを自分で判断して、不足なく議論するということが難しい問題なのかな。帰納法を練習するには非常にいい問題だと思うけどね。
確かに、計算量はほとんどないけど、示さないといけないことが多いから、どこまでしっかり記述すればいいのかを判断するところが難しいのかも。そういう意味では、いい問題だよね。難しくはないけど、完答が難しいっていうかさ。
ようこちゃん、まだ大丈夫?
う〜ん、流石に疲れてきたけど、積分系とかの頭をあんまり使わなそうな問題だったら、まだやれる、かな?
じゃあ、ぴったりの問題があるよ。
1964年 第5問 三角関数の積分に数列が参戦する豪華キャスト
$$f_{n}(x) = \cos{\left( x+\frac{a_{n+1}+a_{n}}{2}\right)}\sin{\left(\frac{a_{n+1}-a_{n}}{2}\right)} (n=1, 2, \cdots\cdots)$$
とおく。
(イ)すべての\(x\)の値について、\(\sum_{n=1}^{\infty}f_{n}(x)\)が収束するためには、数列\(a_{1}, a_{2}, \cdots, a_{n}, \cdots\)がどのような条件をみたすことが必要十分であるか。
(ロ)(イ)の条件が満たされているときについて、和\(F(x) = \sum_{n=1}^{\infty}f_{n}(x)\)を求め、
$$\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}F(x)dx$$
と級数の和
$$\sum_{n=1}^{\infty}\left( \int_{0}^{\frac{\pi}{2}}f_{n}(x)dx\right)$$
とを比較せよ。
数列はゲストキャストって感じで、メインキャストは三角関数と積分だけど、問題としてはようこちゃんの希望通りの問題だと思うよ。
確かに、これは頭よりも手を使う問題だなぁ。じゃあ、やってやるか。なんか、最初にやった問題みたいに積和かな。今の場合は
$$\cos{\alpha}\sin{\beta} = \frac{1}{2}\left( \sin(\alpha+\beta) – \sin{(\alpha – \beta)} \right)$$
を使っていくとうまいこと色々消えてくれる。
\(\alpha+\beta = x+a_{n+1}, \alpha-\beta = x+a_{n}\)とおくと
$$2f_{n}(x) = \sin{(x+a_{n+1})} – \sin{(x+a_{n})}$$
うん、いい形。これなら部分分数分解の和みたいに、どんどん消えていくなぁ。
$$\begin{eqnarray}
2\sum_{n=1}^{n}f_{k}(x) &=& \left( \sin{(x+a_{2})} – \sin{(x+a_{1})} \right) + \left( \sin{(x+a_{3})} – \sin{(x+a_{2})} \right) \\
&+& \cdots + \left( \sin{(x+a_{n+1})} – \sin{(x+a_{n})} \right)\\
&=& \sin{(x+a_{n+1})} – \sin{(x+a_{1})}\\
2\sum_{n=1}^{\infty}f_{k}(x) &=& \sin{(x+a_{\infty})} – \sin{(x+a_{1})}\\
\end{eqnarray}$$
ってことで、鍵は\(\sin{(x+a_{\infty})}\)だね。
これを加法定理でバラすと
$$\sin{(x+a_{\infty})} = \sin{x}\cos{a_{\infty}}+\sin{a_{\infty}}\cos{x}$$
となっている。つまり、
$$\sum_{n=1}^{\infty}f_{n}(x)$$
が収束するための条件は、\(\cos{a_{n}}, \sin{a_{n}}\)が収束することと必要十分。どうかな?
うん、それでいいよ。もし、\(\sin{(x+a_{\infty})}\)のまま止まっちゃうと、\(a_{n}\)が収束することという風に言いたくなっちゃうけど、実はもう少し先まで見ないとダメだよね。
さぁて(2)の問題は、いわゆる積分とシグマの順序を変えたら、値がどう変わるのかという問題だね。一つ一つ計算していけば突破できるよ。ようこちゃんなら問題ないかな。
そうだね。じゃあ、一つ一つやっていくよ。その前に準備として、\(\cos{a_{n}}, \sin{a_{n}}\)の\(n\to\infty\)での収束値を\(\alpha, \beta\)とおくと、
$$\begin{eqnarray}
2F(x) &=& 2\sum_{n=1}^{\infty} f_{n}(x)\\
&=& \sin{x}\cos{a_{\infty}}+\sin{a_{\infty}}\cos{x} – \sin{(x+a_{1})}\\
&=& \alpha\sin{x} + \beta\cos{x} – \sin{(x+a_{1})}\\
\end{eqnarray}$$
だから
$$\begin{eqnarray}
2\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}F(x)dx &=& \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \left( \sin{x}\alpha + \beta\cos{x} – \sin{(x+a_{1})} \right)dx\\
&=& \left[ -\alpha\cos{x} + \beta\sin{x} + \cos{(x+a_{1})} \right]_{0}^{\frac{\pi}{2}}\\
&=& \beta – \sin{a_{1}} + \alpha – \cos{a_{1}}\\
\end{eqnarray}$$
ふ〜。じゃあ、次の積分を考える。
$$\begin{eqnarray}
2\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}f_{n}(x) &=& \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \left( \sin{(x+a_{n+1})} – \sin{(x+a_{n})} \right)dx\\
&=& \left[ -\cos{(x+a_{n+1})} + \cos{(x+a_{n})} \right]_{0}^{\frac{\pi}{2}}\\
&=& \sin{a_{n+1}}-\sin{a_{n}} + \cos{a_{n+1}} – \cos{a_{n}}\\
\end{eqnarray}$$
よって
$$\begin{eqnarray}
2\sum_{k=1}^{n} \left( \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} f_{k}(x)dx \right)
&=& \left( \sin{a_{2}} – \sin{a_{1}} + \cos{a_{2}} – \cos{a_{1}}\right)\\
&+& \left( \sin{a_{3}} – \sin{a_{2}} + \cos{a_{3}} – \cos{a_{2}}\right)\\
&+& \cdots\cdots \left( \sin{a_{n+1}} – \sin{a_{n}} + \cos{a_{n+1}} – \cos{a_{n}}\right)\\
&=& \sin{a_{n+1}} + \cos{a_{n+1}} – \sin{a_{1}} – \cos{a_{1}}\\
2\sum_{k=1}^{\infty} \left( \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} f_{k}(x)dx \right)
&=& \alpha + \beta – \sin{a_{1}} – \cos{a_{1}}\\
\end{eqnarray}$$
おお! ってことは、どっちも同じ値ってことだね。
うん、正解!
この結果は実はとても重要で、大学でも使うことになるよ。ただ、問題としてはそれほど難しくなくて、丁寧な積分計算をしていけば答えにたどり着くような問題だね。
そうだねぇ、問題としてはそれほど難しくはなかったかな。確かに、数列はゲストって感じだったけど。
さて、ようこちゃん。実はあと2, 3問くらい残っているんだけど、やる?
え? まだそんなにあるの? 今何問目だった?
今のでちょうど10問目だったよ。
じゃあ、キリもいいし、このくらいにしない?
残りはまた今度やろうよ。
あ、そうする? まぁ、それでもいいけどぉ。
ちょっと不満そうだねぇ。まぁ、でももう疲れたし、終わろ!
まぁ、いいか! ガウス括弧を使った面白い問題もあるんだけど、それはまた今度やろ! 今日はどうもありがとね。
いえいえ、こちらこそ。
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