第3回近畿大学数学コンテストA-1 整数問題を解く

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はじめに

近畿大学理工学部 理学科 数学コースでは、毎年、数学自慢を対象に数学コンテストを主催しています。今や21回を数えるほどの定番のイベントですが、今回はその中から第3回の問題を選んで解いていこうと思います。高校生なら十分解ける問題ですので、よければチャレンジしてみてください。

問題

ある本(数学書ではない)を読んでいた友人のX 氏は次のような 文章に出会った: 

「任意の正整数を取る. その数字の順序をでたらめに入れ替えてもう一つ の整数を作る. 大きい方から小さい方を引く. 引き算の答の各桁の数字を 足しあわせる. さらに, その答の各桁の数字を足しあわせる. 足し算の答 が 1 桁になるまでこれを続けると最終的な結果は必ず 9 になる. 」

(中略)

上の引用文で述べていることは本当に正しいだろうか. 正しければ証明 せよ. 正しいとは限らなければ反例を挙げ, さらにどのような場合に正しいかを考察せよ.

感想

問題文はこの後も少し続くのですが、問題の本質とは関係ないので飛ばしました。このように、無駄に長い問題文ですが、これが近畿大学の数学コンテストの問題の特徴です。教授たちから、「数学を楽しんでくれよ」というようなメッセージが聞こえてきそうです。問題自体は非常にシンプルで、大学入試でも取り上げられそうなレベルです。

回答

問題文にある通り、「足し算の答 が 1 桁になるまでこれを続けると最終的な結果は必ず 9 になる」というのは、その数が9の倍数であるということです。すなわち、引用文の主張は「ある数Aとその各位の数を任意に並び替えた数Bの差はいつも9の倍数になる」ということです。これが正しいのなら、それを示せば良いことになります。とりあえず「721」という数を選んで実験してみます。

(1) 721-127 = 594 — 9の倍数
(2) 721-172 = 549 — 9の倍数
(3) 721-217 = 504 — 9の倍数
(4) 721-271 = 450 — 9の倍数
(5) 721-712 = 9 — 9の倍数

全部9の倍数であり、この数では引用文の主張は正しいです。他の場合でも同じように9の倍数になるので、引用文の主張が正しいことを信じて、証明しにいきます。

ある正整数Aを次のように書きます(n≧0)。

$$A = 10^{0}a_{0}+10^{1}a_{1}+10^{2}a_{2}+\cdots\cdots10^{n}a_{n}$$

ただし、a_{0} ~ a_{n}は全て一桁の正整数とします。シグマを用いると

$$A = \sum_{k=0}^{n}10^{k}a_{k}$$

このとき、Bは一桁の正整数a’_{i}を用いて

$$B = \sum_{k=0}^{n}10^{k}a^{\prime}_{k}$$

A, Bの差をとると

$$A-B = \sum_{k=0}^{n}10^{k}(a_{k}-a^{\prime}_{k})$$

ここで、mod 9によりA-Bを評価すると

$$10^{k} = (9+1)^{k}≡1 (\mathrm{mod} 9)$$

$$A-B = \sum_{k=0}^{n}10^{k}(a_{k}-a^{\prime}_{k}) ≡ \sum_{k=0}^{n}(a_{k}-a^{\prime}_{k}) (\mathrm{mod}9)$$

ここで、a_{k}とa’_{k}は並び替えただけなので、それらを全て足し合わせたものは0である。

$$A-B = \sum_{k=0}^{n}10^{k}(a_{k}-a^{\prime}_{k}) ≡ \sum_{k=0}^{n}(a_{k}-a^{\prime}_{k}) (\mathrm{mod}9) = 0$$

よって、A-Bは常に9の倍数であり、引用文の主張が正しいことを示せた。

論証の不備・誤りを発見された方は、ご指摘いただけると幸いです。

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